【研究者監修】医療用大麻とは?日本で解禁される?メリット・デメリットを踏まえて紹介

【研究者監修】医療用大麻とは?日本で解禁される?メリット・デメリットを踏まえて紹介

近年、医療分野における大麻(医療用大麻)の利用が注目を集めています。

現在、50以上の国と地域が医療用大麻を合法化しており、その治療効果や健康への影響についての研究が盛んに行われています。(2024年8月時点)日本も例外ではなく、大麻由来の医薬品「エピディオレックス」の治験が国内でスタートするなど、徐々に変化の兆しが見えてきました。

しかし、ほとんどの人々が、医療用大麻の具体的な内容や効果、さらには合法化に向けた現状や課題について十分に理解していないのも事実です。

この記事では研究者監修の元、医療用大麻に対して疑問や関心を持つ方々に向け、基本的な知識や使用目的、効果、そして法的な位置づけについてわかりやすく解説していきます。

医療用大麻とは

医療用大麻とは、医療目的に使われる大麻のことを指します。

主に疼痛や炎症、痙攣、食欲不振など、特定の疾患や症状の治療のために使用されることが多いです。

大麻はその用途や形態によって、大きく3つに分類されます。

嗜好用大麻 リラックスや娯楽を目的として使用される大麻。主にTHCという成分が多く含まれ、ハイになる効果が求められます。
医療用大麻 特定の病気や症状の治療・緩和を目的として使用される大麻製品。例えば、難治性てんかんや抗がん剤の副作用の軽減などに使用されることがあります。
産業用大麻 繊維やオイル、建築材料、食品などの原料として栽培・利用される。ヘンプと呼ばれることが多い。

 

医療用大麻は、使用が合法的に認められている国や地域でのみ、医師の処方に基づいて提供されます。 

医療用大麻の3つの種類

さらに医療用大麻はその形態によって、大きく3つに分類されています。

大分類 小分類 概要

カンナビノイド医薬品

合成カンナビノイド製剤 化学合成されたTHCなどが主成分
天然カンナビノイド製剤 大麻草由来のCBDやTHCなどが主成分

ヘンプ由来CBD製品

(サプリメントや食品としての位置付け) ヘンプから抽出したCBDを用いたオイルなど

 大麻草由来製品

大麻草を乾燥させたハーブ製剤など

 

日本国内では、ヘンプ由来CBD製品の購入は可能ですが、それ以外のカンナビノイド医薬品や大麻草由来製品の入手は法律で厳しく禁止されています。

現在、治験が行われている「エピディオレックス」は、カンナビノイド医薬品および天然カンナビノイド製剤に分類されており、承認されると日本初の大麻由来医薬品となります。  

医療用大麻の処方は日本でできる?

医療用大麻の処方は日本では行われていません。(2024年8月時点)

ただ日本では、医療用大麻である「エピディオレックス」というCBD(カンナビジオール)を主成分とする医薬品の治験が進められています。 

難治性てんかんを治療するために開発された医薬品で、てんかんにおける発作の頻度を有意に減少させる効果が示されています。今後の医療用大麻の法改正や研究に注目です。

医療用大麻のメリット・デメリット

医療用大麻は、近年注目を集める治療法の一つです。痛みの緩和や精神的な健康の向上など、多くのメリットが報告されていますが、同時にデメリットも存在します。医療用大麻のメリット・デメリットについて紹介していきます。

医療用大麻のメリット

医療用大麻には下記のような、数多くのメリットが期待されています。

  • 化学治療を受けているがん患者の嘔吐を抑制
  • 神経損傷、癌、多発性硬化症、関節リウマチなどの症状を持つ人の痛みを適度に軽減
  • 多発性硬化症患者の筋肉のけいれんを軽減します
  • HIV および AIDS 患者の食欲を増進し、体重減少を抑えます。
  • トゥレット症候群の人のチックを軽減します。
  • 社会不安障害を持つ人々の不安を軽減します。

さまざまな症状や病気に効果があることがわかりますね。

ただパーキンソン病や他の物質への依存症などの他の多くの症状に対して、医療用大麻が有効かどうかはまだ分かっていないことが多いです。今後のさらなる研究に期待です。

医療用大麻はてんかんに役立つ 

医療用大麻の医薬品であるエピディオレックスは、以下のてんかんに対する治療として承認されています。

  • ドラヴェ症候群:乳幼児期に発症する重度のてんかんで、多くの異なる種類の発作を伴います。
  • レノックス・ガストー症候群:早い時期に始まるてんかんで、さまざまな種類の発作が現れます。

 

これらの疾患は、従来の治療方法に反応しづらく、治療が困難であるため、エピディオレックスの承認は多くの患者や医療従事者にとって希望の光となっています。

医療用大麻のデメリット

 医療用大麻のデメリットとして、摂取したときに酩酊状態になることで車の運転の事故リスク増加子供が誤って製品を摂取し呼吸障害やその他の過剰摂取症状を起こすリスクなどがあります。

他にも医療用大麻を長期間使用した場合は、下記のデメリットが予想されます。

  • 空間・時間感覚の変化
  • 喫煙により心臓発作リスクの増加
  • リラックスまたは眠気
  • 口の渇きが起きる
  • 他の薬との有害な作用

 

また研究によると、精神病の病歴があり症状が悪化する可能性がある人や心臓病を抱えている方は、症状が悪化してしまう可能性があるため慎重に使用した方が良いと言われています。

医療用大麻は日本で合法?

現在、日本で医療用大麻の使用は合法ではありません(2024年8月時点)

現行の大麻取締法では、「大麻から製造された医薬品を施用し、又は施用のため交付すること。」「大麻から製造された医薬品の施用を受けること。」が禁止されています。(大麻取締法 第4条)

エピディオレックスの治験は厚生労働省の特別な認可のもとで行われており、承認に向け、現行の大麻取締法の改正について議論が進められています。法案の可決や公布、治験結果を踏まえた承認審査など道のりはまだ長そうです。

世界各国における医療用大麻

多くの国々で、医療用大麻の使用が合法化されています。

これらの国々では、医療用大麻は、特定の疾患や症状の治療のために医師の処方に基づいて提供されます。

地域 医療用大麻が合法な国
北アメリカ アメリカ(州で異なる)、カナダ、メキシコなど
中南アメリカ パナマ共和国、チリ、コロンビア、ペルー、ウルグアイ、アルゼンチン、ブラジル、ジャマイカ、コスタリカなど
ヨーロッパ

ポルトガル、ベルギー、オランダ、イギリス、スペイン、フィンランド、ドイツ、ギリシャ、イタリア、ポーランド、スイス、チェコ、デンマーク、ジョージア、ルクセンブルク、キプロスなど

中東・アフリカ

ウクライナ、イスラエル、レバノン、レント、ジンバブエ、ザンビア、マラウイ、モロッコ、ルワンダ、南アフリカなど

アジア・オセアニア

グアム、韓国、タイ、オーストラリアなど

 

以上、医療用大麻の基礎知識やCBDとの違い、効果、法的な位置付けについてご紹介しました。

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