【研究者監修】ヘンプシードオイルとは?効果・肌に塗った時の影響・使い方まで解説
ヘンプシードオイルとは、麻の実から純粋な油脂成分のみを抽出したオイル製品のことです。近年ヘンプシードオイルの人気は急上昇中であり、世界中の人々から注目を集めています。
この記事ではヘンプシードオイルの効果や使い方から肌の影響まで紹介しています。
ヘンプシードオイルとは
ヘンプ(大麻草)の種子(シード)から純粋な油脂成分のみを抽出したオイル製品です。
ヘンプシードとは、文字どおり"麻の実"という意味で、身近な調味料としては、七味唐辛子の中に入っています。
ヘンプシードオイルは、ヘンプオイルとも呼ばれており、その高い栄養価からスーパーフードとして世界中から注目されています。
ヘンプシードオイルの5つの効果
ヘンプシードオイルは下記5つの効果が期待されています。
- 豊富な栄養素
- 保湿効果
- 抗炎症作用
- 抗菌作用
- 抗酸化作用
豊富な栄養素
ヘンプシードオイルは、栄養価の高いスーパーフードとして世界中から注目を集めています。
以下に、ヘンプシードを構成する各成分と割合グラフを示しました。
図1. ヘンプシードの成分と各割合 (文科省食品成分データベースより)
ヘンプシードは高たんぱくで、すべての必須アミノ酸や食物繊維、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅が豊富に含まれています。
ヘンプシード100gあたりの栄養価は下記のとおりです。
カロリー | 463kcal |
タンパク質 | 29.5g |
飽和脂肪酸 | 2.91g |
一価不飽和脂肪酸(オメガ9脂肪酸) | 3.45g |
多価不飽和脂肪酸(オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸) | 19.35g |
食物繊維 | 22.7g |
カリウム | 240mg |
カルシウム | 130mg |
マグネシウム | 390mg |
鉄 | 13.1mg |
亜鉛 | 6mg |
銅 | 1.32mg |
豊富な栄養価を摂りつつ、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸を含んでいることが分かります。実はこれらの成分は体内で合成できないため、食事で摂取する必要があります。
さらに厚生労働省から、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸を1:4の割合で摂取することが推奨されています。ヘンプシードオイルには、オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸が1:3の割合で含まれており、まさに理想的な栄養価といえます。
この栄養価の高いヘンプシードは、オーガニック食品愛好者やベジタリアンなどを中心に人気の食材です。
保湿効果
ヘンプシードオイルは栄養価が高く、強力な抗酸化作用を持つため、体の酸化を抑える保湿効果が期待できます。そのため、肌の老化の原因となる酸化を抑えることでアンチエイジング効果が期待できます。
特にヘンプシードオイルに含まれるオメガ3脂肪酸には肌の保湿効果が期待されています。ヘンプシードオイルは肌に直接塗っても馴染みやすいので、手軽に使うことができます。
抗炎症作用
ヘンプシードオイルは抗炎症作用が期待できます。先ほどご紹介した「オメガ3脂肪酸」は過去の研究から、体の炎症を抑える「抗炎症作用」が期待されています。
2011年に行われた研究炎症や不安が軽減したことが示唆されています。
慢性的な炎症を伴う疾患や不安にお悩みの方は、ヘンプシードオイルを活用してみるのも良いでしょう。
抗菌作用
ヘンプシードオイルは様々な研究から、抗菌作用が期待されています。特にグラム陽性菌に対して有効な抗菌効果を持ち、食品加工や健康補助の分野で利用される可能性が期待されています。
抗酸化作用
ヘンプシードオイルには、「ビタミンA」、「ビタミンE」、「ビタミンC」などの抗酸化作用のある成分が豊富に含まれています。これらのビタミンは抗酸化ビタミンと呼ばれており、老化の原因を直接抑制する効果が期待されています。
ヘンプシードオイルを肌に塗るとどうなる?
ヘンプシードオイルを肌に塗ることで、肌の乾燥や痒みを抑えることができるでしょう。ヘンプシードオイルは体に優しいオイルとも呼ばれています。
アトピー性皮膚炎の被験者へのヘンプシードオイルの経口摂取による肌への影響を調査した研究によると、肌環境が改善される可能性があることがわかっています。
本研究では、ヘンプシードオイルの比較対象としてオリーブオイルを用いています。
各オイルに含まれる脂肪酸の大まかな組成は以下の通りです。
ヘンプシードオイルで特徴的なのはリノール酸とα-リノレン酸を3:1で含むことと、γ-リノレン酸(GLA)が含まれていることです。
本研究では、被験者の経表皮水分喪失(TEWL)を指標とした皮膚の水分量の測定や、乾燥やかゆみ、スキンケアに関するヒアリングなどを行っています。
結果、ヘンプシードオイルの摂取によって、TEWLは減少、乾燥やかゆみが改善、スキンケアの頻度が減少することが分かりました。つまり、ヘンプシードオイルを摂取することで、肌環境が改善される可能性があるということになります。
オリーブオイルとの比較試験によって、ヘンプシードオイルに豊富に含まれる不飽和脂肪酸である下記の3つの成分が皮膚の状態改善に寄与しているのではないかと考察しています。
・リノール酸
・α-リノレン酸
・γ-リノレン酸
以下は、血中に含まれる各種トリグリセリド(脂肪酸がグリセリンに結合している状態)の分析結果を示していますが、オリーブオイルと比較して上述した3種の不飽和脂肪酸の濃度が8週間のオイルの摂取によって増加していることが分かります。
ヘンプシードオイルの使い方は?
ヘンプシードオイルの使い方として下記2つあります。
食べて使う方法
ヘンプシードオイルの最もメジャーな摂取方法は食べることです。特にヘンプシードオイルをスプーン1杯分直接摂取する方法はおすすめです。
ヘンプシードオイルそのままの味と香りを楽しめ、無駄がなく体内に取り入れられるので効率よく摂取できます。
野菜などの料理にドレッシングとしてかけて使う方法もおすすめです。和食材とは相性が良くとても食べやすくいつもと違った風味になるでしょう。
なお、ヘンプシードオイルは熱に弱いので、加熱調理には向きません。そのため、サラダのドレッシングやスムージーに加える、あるいはパンに塗ってそのまま味わうといった使い方が一般的です。
肌に塗って使う方法
ヘンプシードオイルは肌に直接塗って使用することもおすすめです。マッサージオイルとしてフェイスケアに使用したり、症状がある患部に直接塗る方法も肌なじみが良くなるのでおすすめです。
ヘンプシードオイルとCBDオイルの違い
ヘンプシードオイルとCBDオイルは全くの別物です。
ヘンプシードオイルとは、ヘンプ(大麻草)の種子(シード)から純粋な油脂成分のみを抽出したオイル製品のことです。
それに対してCBDオイルとは、ヘンプから抽出される「CBD」と呼ばれる成分を「食用オイル」に溶かした製品のことを言います。
ヘンプシードオイル | CBDオイル | |
効果 | 豊富な栄養素が含まれ健康促進が期待 | リラックス作用など幅広い効果が期待 |
原料 | 麻の種子 |
麻の茎と種から抽出したCBD |
味 | ナッツのような香ばしいクセのない味 | CBD特有の苦味 |
自分が使用する目的に応じて、ヘンプシードオイルとCBDオイルを使い分けるのが良いでしょう。豊富な栄養素を効率的に摂りたい方や肌に直接塗りたい方はヘンプシードオイル、リラックス効果を含むその他様々な効果を得たい方はCBDオイルを使うのが良いでしょう。
ヘンプシードオイルを生活に活用してみよう
ヘンプシードオイルには豊富な栄養素を含んでいることから、幅広い効果があることがわかりますね。肌の乾燥や栄養不足に悩んでいる方にはぜひおすすめです。
CBDオイルも数多くの効果が期待されています。自分の目的や用途に応じて、ヘンプシードオイルとCBDオイルを使い分けるのが良いでしょう。
ヘンプシードに関するよくある質問
ヘンプシードオイルはアトピーに効く?
先述でもお伝えした通り、ヘンプシードオイルはアトピー患者に効果があることが研究より示唆されています。
ヘンプシードオイルとアトピーに関する研究では、ヘンプシードオイルの摂取によって、TEWLは減少、乾燥やかゆみが改善、スキンケアの頻度が減少することが分かりました。
つまり、ヘンプシードオイルを摂取することで、肌環境が改善される可能性があるということになります。今後の更なる研究にも期待できますね。
ヘンプ シードオイルと亜麻仁油の違いは?
ヘンプシードオイルは麻の実(種子)から採れるオイル、 亜麻仁油はゴマの形状に似た亜麻の種子から採れるオイルという違いがあります。
ヘンプシードオイルは必須脂肪酸を80%含んでおり、アルファ・リノレン酸(オメガ3)とガンマ・リノレン酸(GLA)を同時に含んでいる特徴があります。
アルファリノレン酸(オメガ3)を豊富に含んでいる特徴があります。
現代人に不足しているオメガ3系脂肪酸を多く含むオイルとして近年注目されています。