エピディオレックスについて

エピディオレックスについて
エピディオレックス(Epidiolex)とは
引用元:Cannabis-based drug for epilepsy to be fast-tracked into NHS
エピディオレックスは、CBD(カンナビジオール)を主成分とする医療用の経口製剤です。
CBDは大麻の主要な成分の一つで、痛みや炎症、不安の軽減・緩和など、その効果が注目されています。
エピディオレックスはCBDを純度の高い形で含む製品として、特定の難治性てんかんの治療に使用されています。
難治性てんかんの治療薬
以下の種類のてんかんの治療薬として、FDA(アメリカ食品医薬品局)によって承認されています。FDAによる承認は、臨床試験で徹底的に評価された安全性と有効性を持っていることを意味します。
- ドラベ症候群(Dravet syndrome)
- レノックス・ガストー症候群(Lennox-Gastaut syndrome)
これらの疾患は、通常の抗てんかん薬での治療が難しい難治性てんかんの一部です。
THCを含まない純CBD製剤
エピディオレックスの特徴として、THC(テトラヒドロカンナビノール)をほとんど含まない点が挙げられます。THCは大麻に含まれる精神活性成分で、一般的に「ハイ」な感じをもたらす成分とされています。
しかし、エピディオレックスはこのTHCを含まないため、患者は精神活性の影響を受けることなく治療を受けることができます。
CBD(カンナビジオール)とは
CBDは大麻(ヘンプ)から抽出される成分のひとつで、カンナビノイドと呼ばれる生理活性物質群に分類されます。
医療や健康分野で特に注目を浴びており、研究によると睡眠改善、抗不安、抗てんかん、神経保護、抗炎症、抗酸化、鎮痛などの作用が示されています。
また、CBDは依存性がなく、安全性が高いということがWHOの報告書でも示されており、危険な副作用もほとんど報告されていません。
日本国内でも使える?
現状、日本国内では違法
現行の大麻取締法では、大麻=成熟した茎および種子以外(花穂や葉など)の部位およびその製品と定義されており、大麻由来の医薬品の施用は禁止されています。(部位規制)
エピディオレックスは、大麻の成熟した茎や種子以外の部位から抽出されたCBDを使っているため、法律上は”大麻由来の医薬品”となります。
そのため、現状の大麻取締法のもとでは違法となっています。
現在、国内で治験が行われおり、医療大麻の解禁に向けて
今後、日本でも解禁予定
現在(2023年10月時点)、秋の臨時国会にて大麻取締法の改正案が提出されるとの報道が行われています。
この改正では、現行法の部位規制から成分規制への大きな方向転換が行われる予定です。
成分規制とは、特定の大麻成分の含有量や使用方法に基づいて規制を行う方式を指します。
これによって大麻成分を取り扱う際のルールがより明確になり、医療用大麻の解禁が大きく前進することが予想されます。
世界各国の状況
医療大麻の合法性は、国や地域によって大きく異なります。
その背景には、文化的な違い、歴史的背景、医療の進展、そして政策の方向性など、様々な要因が影響しています。
エピディオレックスと難治性てんかん
治療のメカニズムは?
エピディオレックスの具体的な作用メカニズムは完全には解明されていませんが、以下の可能性が提唱されています。
- 神経伝達物質の調整
- 炎症の抑制
- イオンチャネルの調節
- 脳内のエンドカンナビノイドシステムの調節
作用に関する研究はまだ初期段階であり、今後の研究によって詳しいメカニズムが明らかになることが期待されています。
安全性は?
エピディオレックスは、FDAの認可を受けた医療用のCBD製剤であり、臨床試験において一定の安全性が確認されています。
副作用のリスクは存在しますが、これは他の多くの医薬品にも言えることです。
治療を受ける際は、医師と十分なコミュニケーションをとり、適切な情報を得ることが重要です。
使用上の注意点
エピディオレックスは、他の薬と相互作用を起こす可能性があります。特に、他の抗てんかん薬や一部の抗うつ薬との併用時には注意が必要です。
また、胎児への影響は十分に研究されていないため、妊娠・授乳中の摂取は控えることが推奨されています。
医師や薬剤師と十分な相談を行い、使用に関する注意点をしっかりと守るようにしましょう。
まとめ
エピディオレックスは、特定の難治性てんかんの治療において効果が期待される製剤として、注目を浴びています。
この製剤は、大麻から抽出されるCBDを主成分としており、THCをほとんど含まない点が特徴です。これにより、患者は”ハイ”になる影響を受けずに治療を受けることが可能となっています。
近年の研究では、CBDが持つ神経細胞の興奮性を調整する効果や、脳内のエンドカンナビノイドシステムの調節などが、てんかん治療における有効性の一因とされています。
また、日本における大麻取締法の改正が進行中であることから、エピディオレックスの国内での利用も現実的なものとなるかもしれません。
さらに、エピディオレックスの臨床データの蓄積や社会的な受容が進むことで、CBD製品の研究や開発がさらに進められる可能性があります。
この動きは、医療用大麻やCBD関連の製品全般の発展を意味するもので、今後の医療の進展において注目されるでしょう。